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スポーツ分野とジビエを掛け合わせた商品ブランド「SPORTS GIBIPAS」が発表された。原料には、国産ジビエ認証などを取得した食肉処理施設で処理された肉を使い、アスリート向けの品質認定も取得している点を打ち出す。国産ジビエ認証は、処理施設に衛生管理を促し、衛生基準や流通規格をそろえ、消費者が安心して選べる表示を広げる狙いで設けられた制度だ。認証施設の精肉や、それを使う飲食店は認証マークを掲げられる。今回の発表は、ジビエを「珍しい肉」から「根拠のある栄養源」へ位置づけ直す試みと言える。

引用元: 国産ジビエ認証とアスリート品質認定を取得した商品ブランドが登場(Jiji Press)

分析・見解

ジビエの弱点だった安心感を認証が補う

ジビエ(=野生鳥獣の食肉)が家庭や外食に広がらなかった最大の理由は、味より先に「安全なのか」という不安にあった。牛や豚は食肉処理場での検査が制度化されているが、野生のシカやイノシシは捕獲場所も個体の状態もばらつく。そこで国産ジビエ認証は、個体ではなく処理施設の衛生管理を評価する形をとった。

この設計は合理的である。個体ごとの品質は保証しきれなくても、受け入れから解体、保管、出荷までの手順を標準化すれば、最低限の安全水準は揃えられる。食品業界のHACCP(=工程ごとに危険を管理する手法)に近い考え方で、施設側の努力を見える化する仕組みだ。

アスリート品質認定という二つ目の物差し

今回のブランドの新しさは、衛生の認証に加えて、競技者向けの品質認定を重ねた点にある。衛生認証は「悪いものが入っていない」ことの証明だが、買う人が知りたいのは「自分の体に何が良いのか」である。シカ肉は一般に脂質が少なく、たんぱく質と鉄分が豊富とされる。持久系の競技者や減量中の人に響きやすい特性だ。

注意したいのは、アスリート向けという言葉が一人歩きする危険である。競技者はドーピング検査の対象となる場合があり、食品由来の禁止物質混入には敏感だ。第三者による品質認定は、この不安に答える意味を持つ。衛生と競技適性という二重の物差しは、他の地域ブランドにも応用できる型になる。

農林被害対策と食の市場をつなぐ循環

日本の野生鳥獣による農作物被害額は近年、年間150億円前後で推移している。捕獲数は増えても、食肉として利用される割合は一部にとどまり、多くは埋設や焼却で処分される。捕獲が進むほど処分費がかさむという構造では、現場の負担は減らない。

出口となる需要を作れば、捕獲は費用から収益に変わりうる。高級フレンチ向けの少量需要だけでは受け皿が足りないが、スポーツ栄養なら継続購入が見込める。プロテインバーやレトルトのような加工品は、保存性が高く、形の揃わない部位も使える。需要の質を変えることが、供給側の課題解決に直結する。

一つのブランドで終わらせない条件

課題は価格と量である。野生肉は季節や捕獲状況で入荷が揺れ、養殖飼料で育つ家畜より原価が高くなりやすい。競技者向けに安定供給を約束すると、欠品が信用を傷つける。複数の認証施設で原料を融通する仕組みや、加工品での平準化が欠かせない。認証マークがスーパーや通販で見慣れた表示になれば、市場は一段広がるだろう。

ビジネスへの影響

認証取得は営業の入場券になりつつある

食肉処理施設にとって、国産ジビエ認証は取得コストのかかる負担と見られがちだ。しかし今回のように、認証施設の原料を条件にする商品ブランドが出てくれば、認証は取引先に入るための入場券になる。未取得の施設は、新しい販路から外れるおそれがある。設備投資の補助や自治体の支援を調べ、早めに計画を立てたい。

飲食店や食品メーカーには、認証マークそのものを訴求材料にする手がある。メニューに「認証施設の肉」と明記するだけでも、初めて頼む客の心理的な壁は下がる。

異業種との組み合わせで需要を作る

自治体や狩猟団体は、観光や食育だけでなく、スポーツジム、部活動の合宿、市民マラソンの給食など、体づくりに関心のある場に営業先を広げられる。まず試験的に少量を提供し、反応を数字で集めるとよい。

投資判断では、栄養効果を強く言い切らない慎重さも必要だ。表示は根拠のある範囲にとどめ、保健機能の誤解を招かないようにする。安全と誠実さを守る姿勢が、結果的にブランドを長持ちさせる。

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